殺人罪に問われた日本人留学生と刑務所のボスとの激しいハードボイルドな恋愛のお話。
二度と地上には出られない男だけの監獄UGH、そんな狭い世界だからこそ起こりうる数々の出来事がとても刺激的です。刑務所の中なのにドラッグや殺人が日常的に行われ
、そんな無秩序の中でセンは囚人のボスソードに気に入られ、身の安全のために体の関係を持つことからお話がどんどん展開していきます。
センは最初こそ刑務所での生活に慣れることに抵抗しますが、徐々に時と場合に応じた身の振り方を覚えその生活に慣れていく様が、人間の適応性、順応性を良く表していてとても人間くさく生々しさを感じました。生きることへの絶望感に始まり、多くの屈辱を受け、快楽と退屈に飼いならされることなく理性を保とうとするセンの姿にヒリヒリと感情が焼け付く気がしました。
そして、ソードとの関係性が駆け引きしたものから信頼・愛情に変わっていく様もまた緊張感溢れ、途中からは充実感に満ち溢れ生き生きとした言動をするようになっていくのが、ダークな一面との対比になっていて面白かったです。
とはいえ、二度と出られない狭い檻での生活で、最後はどんな風に物語が終わるのだろうと思っていたので、結末に向かう急展開はちょっと読みにくく感じましたが、あんな風に読者に考えさせられるものとしては案外納得出来るものでした。妄想の膨らませ方がとても上手いなぁと感心します。無理矢理や複数人とのプレイや手荒いシーンもありますが、ダークサイドを雰囲気を壊すことなく描ききっていて見事な作品です。
もっとみる▼