自分をαだと思っていた完全無欠の生徒会長が、不良に絡まれた小学生の男の子を助けると、その相手が自分の運命の番だったというお話。
運命の番がショタだという設定はとても斬新です。確かにオメガバースの世界だと、運命の番は意外に身近なところにいる
同世代の人だという設定が多いですが、現実的に見たらこういうことも起こり得るよなと改めて思い知らされました。強く惹かれ合っていても、オメガバースを、性を理解していない子供が相手であれば我慢して待つしかないし、千夏は諦めにも似た気持ちで離れたんだと思うと、とても切ないです。でも、性に翻弄される世界であれば、こんな切ない出会いもあるんだと新しい見方を教えてもらった気がしました。
オメガバースの設定でいうと、千夏が激しい衝動で苦しむ場面やドロドロになる場面はありますが、αのはるかにはまだ自覚がないので暴力的だったりする場面はありません。千夏のヒートフェロモンを嗅いでも周りが我慢ができるような優しめの設定なので、苦手な人も読みやすいと思います。最終的に結ばれるのははるかが高校卒業してから。大人になったはるかも優しくてカッコ良かったです。また、はるかと一緒にいると可愛いΩになってしまう千夏にもキュンとしました。
タイトルのさよならアルファは、自分の勘違いと運命の番との離れ離れの時間を上手く掛け合わせていて、とても考えられたタイトルだなと思いました。
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