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中篇『猫殴り』3話+短篇3作品入り。
全編、全く救いがありません。
この作品集の世界には、神は居ないし、仏も居ない。だから登場人物達にとっては「地獄」にすらならない「あたりまえの」世界だと感じました。つらい。
現実に
こういうことは往々にしてある、という話ばかりで、そんな世界にできる限り加担しない自分であるにはどうすれば良いだろう、と考えさせられる作品集です。
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・『猫殴り』海から襲いくる謎生物「猫」(全く本物の猫とは違う)を撃退するためだけに生まれたというケモ耳と尻尾のある女学生の姿の生き物の話。差別され、まやかしの「救い」を与えられ、戦いに「正しさ」さえ存在しない。つらい。
・『鬼』いじめの話。家庭にも学校にも守ってもらえず、せめて自分は何かを守ろうとする主人公。つらい。
・『神の沈黙』新興宗教の家の友達を、助けたいけど見ないふりをしていた……けれど助けるために行動した話。それは僅かにでも救いになっただろうか。つらい。
・『こども』こんな母親でも子供にとっては「拠り所としての母」であるのがつらい。
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