麻生先生は重いテーマの作品を描かれるので購入しても直ぐには読めず3ヵ月…。その間にどんな内容だったかキレイサッパリ忘れ去り、まっさらな状態で読めたので真実を知った時の衝撃がストレートに体を貫きました。作品紹介を見返すと盛大にネタバレしていて
それも衝撃でした。事前に読まなくて良かった… 一読後は献身、自己犠牲による無償の愛という印象。二読後、否 これは単なる美談ではないな… 以下はネタバレを含みますので未読の方はお控え下さい→ 同い年で施設で育った2人。バース診断前、円自身も吐木も円がΩだろうと思い、また望んでいる様に見える。が、予想外の診断が下り話せずにいた所に事件が起きて… 自分と見間違えて助けに行ったせいで事件が起きてしまったかも知れない罪悪感。傷付いた幼少期に謝って吐き出した事で回復した吐木に、それをさせてあげられない現実。しかし真実を知れば苦しんでしまうジレンマ。だから被害者のフリをして「助けただけだ」と弁護する… までは分かるが、吐木の精神の核を守る事を第一に考えるならば「首は噛んでないよ」と言って見せてあげれば済んだのでは?「守りたい」「安っぽい感傷」「軽率」の他に、潜在的な「お前のΩになりたい」との思いが働いて無意識だろうが衝動的に縛ってしまった様に見えた。その結果 していない事の罪悪感を植付け、出世を阻み、3ヵ月に1度の発情で究極のツンデレを見せて離れられなくして繋ぎ止めてしまう。円なりの苦しみや葛藤、後悔はあるけれどボタンの掛け違いレベルではない歪んだ関係性を生んでしまった… 替えの利かないものになってしまった後ろめたさ、本当の「運命」をあげたいと願う心の内、痛みを伴う愛が複雑に絡み苦しい。吐木が上司に「被害者が… 刑事はそれを忘れちゃいかん」と言われて前歯を触るシーン。気付きを与えられ、置き去りにされていた真の被害者に思いを寄せる事が出来たのは良かったと思います。吐木と円、Ωレ○プ事件、社会もバース性が根底にあって見えない分断がある。αΩβそれぞれに生き辛さがあって、抗えない運命があって、絶望を感じたりするけれど、性別に囚われる事無く 大切なのは自分自身だよ、と大きなメッセージが込められた作品だなと感じました。そして視点、解釈、構成等 レベルが一段違う作家さんだと改めて感服しました。描き下ろしでは まさにリバース… 全てが浄化されて救われた気持ちになりました
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